会社案内

アルミダイカストに熱処理は不可能?熱処理の方法・メリットを紹介!

アルミダイカストに熱処理は不可能?熱処理の方法・メリットを紹介!

一般的なアルミダイカスト熱処理はできません。

ただ、真空ダイカスト法や無孔性ダイカスト法を用いれば、成形品に熱処理を施せます。アルミダイカストに熱処理を施すと、アルミの欠点でもある硬度の低さをカバーできます。

この記事では、アルミダイカストの熱処理に関して解説します。

ぜひ参考にしてください。

▼弊社のダイカスト製品の製造事例はコチラからご覧いただけます。

帝産大鐘ダイカスト工業 製造事例

 

アルミダイカストに熱処理は不可能?

アルミダイカストにも熱処理は可能ではありますが、適してはいません。ダイカストの性質上、熱処理しない方が製品の質が保たれるからです。

ただ、アルミダイカストでも熱処理を可能にする方法も誕生しています。

 

アルミダイカストに熱処理を施せない理由

アルミダイカスト熱処理を施せない理由は、ダイカストならではの鋳造方式に理由があります。

 

空隙が膨張するため

ダイカストとは、溶融金属を高圧かつ高速で金型に注入し冷却することで製品を生産する鋳造方式です。

その工程では、製品の内部に空隙が発生します。基本的に、多少の空隙は製品の品質に問題を与えませんが、熱処理するとなると話は別です。というのも、熱処理を施すと空隙が膨張してしまい、製品の質を損ねてしまうからです。

 

アルミダイカストは空隙が生じやすいため

ダイカストでは空隙が生じやすく、アルミダイカストも例外ではありません。

「アルミダイカスト=空隙が発生する鋳造方式」、「熱処理=空隙を膨張させる加工」であるため、アルミダイカストに熱処理は向いていません。

 

アルミダイカストに熱処理を施せないデメリット

そもそも、アルミダイカストに熱処理を施さないことにどのようなデメリットがあるのでしょうか。
熱処理のメリットを踏まえて解説します。

 

機械的性質が向上しない

多くの金属処理は最終工程で熱処理が施されます。その理由は、熱処理を施すことで金属の機械的性質を向上させられるからです。

金属の強度や耐摩耗性のアップなど、目的に合わせて金属の機械的性質を変えられます。また、アルミニウムはさまざまな用途で使用される金属です。

アルミホイルなどは柔らかいアルミニウムですが、機械の部品に使われるような硬いアルミニウムもあります。これらのアルミニウムは、そもそも種類が異なりますが、熱処理によって機械的性質が変化している場合もあります。

しかし、アルミダイカストで成形した製品には熱処理を行えず、どうしても機械的性質で劣ってしまいます。

 

アルミダイカストに熱処理を施す方法

技術革新が進んだ昨今、特殊な手法を用いればダイカストでも熱処理を施せるようになりました。
熱処理が可能なアルミダイカストは下記の2種類です。

  1. 真空ダイカスト法
  2. 無孔性ダイカスト法

 

真空ダイカスト法

真空ダイカストとは、金型内を真空状態にしてから溶融金属を注入する特殊ダイカスト法です。ダイカストに熱処理を施せない理由は、成形品の内部に生じた空隙が膨張してしまうことでした。

金型を真空にする真空ダイカスト法ならば、成形品に空隙が生じるリスクを大幅に下げられるため熱処理が可能になります。熱を加えられるということは、熱処理だけでなく溶接も可能です。

また、空隙を生じさせないことは、ダイカストで発生しやすい欠陥である鋳巣のリスクも軽減できます。さらに、金型内を真空にすることで空気がなくなるため湯回りも優秀です。このように、真空ダイカスト法の活用は熱処理以外にもさまざまなメリットがあります。

さまざまな面に秀でている真空ダイカスト法ですが、導入には高いコストが発生します。そもそも真空ダイカストは一般的な金型には使用できません。

真空を実現させるだけの密閉性を作れる金型でのみ真空ダイカスト法を使用できます。また、減圧装置などの特殊な設備も必要になるため、従来のダイカスト以上にコストがかさみます。その他にも真空ダイカストならではの設備が必要になるため、簡単には導入できません。

 

無孔性ダイカスト法

無孔性ダイカスト法とは、金型内に活性ガスである酸素を送り込み空気を酸素に置き換える特殊ダイカスト法です。「PE法」とも呼ばれます。

アルミニウムは活性金属なので、酸化反応を起こして金型内を真空にし空隙の発生を防止します。そのため、熱処置で空隙が膨張するリスクを回避できます。

無孔性ダイカスト法のメリットは、真空ダイカスト法よりも低コストで導入できることです。無孔性ダイカスト法は酸素の置き換えさえできれば成立するため、真空ポンプなどの装置なしで鋳造を行えます。

それでいて、真空ダイカスト法同様に溶接加工して高品質な製品を生産できるため、高いコストパフォーマンスを発揮します。短所は酸化反応が起きる素材でなければ真空状態を作れないことです。
アルミニウムの場合は問題ありませんが、素材の種類によっては無孔性ダイカスト法ではなく、真空ダイカスト法でなければ熱処理はできません。

 

T6熱処理に向いている

アルミダイカストと特に相性のいい熱処理はT6熱処理です。T6熱処理は、熱処理の中でも最も強度を高められる処理とされています。焼き入れや焼き戻しを施すことで金属の機械的性質を飛躍的に向上させます。

アルミダイカストの利点は、複雑な製品でも簡単な工程で生産できることや、短い時間で次々と製品を大量生産できることです。一方で熱処理はできず、機械的性質の低さが短所です。

T6熱処理を施すことで、アルミニウムの短所を補った理想的な製品を生産できます。

 

アルミダイカストに熱処理を施すメリット

ここまで解説してきた内容を踏まえつつ、アルミダイカスト熱処理を施すメリットをお伝えします。
主なメリットは下記の2点です。

  1. 硬度がアップする
  2. 機械加工性がアップする

それぞれ解説いたします。

 

硬度がアップする

アルミダイカストに熱処理を施すことの最大のメリットは、成形品の硬度を格段に上げられることでしょう。アルミダイカストは非常に優秀な鋳造方式ですが、製品1つ1つの硬度の低さが唯一の欠点ともいえます。

そこで真空ダイカスト法や無孔性ダイカスト法を用いることで、アルミダイカストで鋳造した成形品に熱処理を施すことで、硬度の低さを補います。アルミダイカストに熱処理を施せば、生産力にも品質にも明確な欠点がありません。

ただ、真空ダイカスト法を用いるとなると、設備を整えるのに高いコストがかかってしまいます。

 

機械加工性がアップする

アルミダイカストに熱処理を施すメリットの2つ目は、機械加工性がアップすることです。熱処理により硬度のアップに加えて、残留応力を除去できます。残留応力を取り除くと加工しやすくなるので、短時間での加工が可能になります。

 

まとめ

アルミダイカストは、自動車部品の生産などで活用される便利な鋳造方式です。

ただ、空隙が生じやすい鋳造方式でもあり、空隙を膨張させてしまう熱処理には向いていません。
そのため、アルミダイカストの成形品に硬度を求めることは困難でした。しかし、真空ダイカスト法や無孔性ダイカスト法を用いて金型を真空状態にすれば、成形品に熱処理を施せます。

もっとアルミダイカストについて知りたい、アルミダイカストの導入を検討したいという方は、気軽に当社へお問い合わせください。

【関連記事】ダイカストとは?メリット・デメリットを解説
【関連記事】鋳造とダイカストの違いとは?製造方法や注意点を解説
【関連記事】ダイカストで製造できる製品例をご紹介
【関連記事】ダイカスト金型で起こる欠陥、焼き付きとは?概要と対策について解説
【関連記事】鋳造欠陥とは?種類と原因・対策を解説!

 

▼弊社のダイカスト製品の製造事例はコチラからご覧いただけます。

帝産大鐘ダイカスト工業 製造事例

一覧に戻る
  • UKASISO9001:2015 認証取得
  • M-EMS
  • J-GoodTech
ページトップへ