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鋳造における「中子」とは?製造方法や注意点もあわせて紹介

鋳造における「中子」とは?製造方法や注意点もあわせて紹介

鋳造とは金属を融点より高い温度で溶かして固体にする方法を意味し、金属の加工法の1つです。また、鈴などの中空の鋳物を作る際に多く使われるのが「中子」とよばれる方法です。本記事では、中子の具体的な説明や製造方法、注意点などについて詳しく説明していきます。

 

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鋳造における「中子」とは

鋳造における「中子」とは、鋳物の中空部を作る工程において生形とは別に使われている鋳型のことです。中子以外には「芯」や「コア」と呼ばれる場合もあります。

中子は鈴のように密閉状態に近い中空の鋳物を作る際に使用するのが一般的です。中子を金型の中に設置して鋳造することで、アルミニウムの流れを止められます。また、中子は後から振動させることで取り出せるため、中空構造を造れるのです。

 

鋳造とは

鋳造とは金属の加工法の1つであり、金属を融点よりも高い温度で溶かしていく方法のことです。

融点とは、固体が融解して固体になる温度を指します。水の融点は0℃ですが、酸素は「-218℃」、鉄は「1536℃」と物質によって融点は大幅に異なります。

鋳造は紀元前4,000年頃(メソポタミア文明)に初めて利用されたといわれており、長い歴史があります。当時は銅合金によって武器や装飾品などを鋳造していました。

現在でもさまざまな場所で鋳造の技術は使われており、マンホールや釣鐘を作るときにも利用されています。

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「中子」を製造する際の注意点

もともと製作に手間がかかる中子ですが、鋳型の中に置くだけと作業自体はシンプルです。ただし、少しでも不安定な状態になると肉厚がバラバラになってしまいます。

そのため、中子を安定して設置するために端を延長することにより、幅木とよばれる支えられる部分を設けるなどのさまざまな工夫が必要です。また、幅木を置く際は重心を下にすることで安定感のある構造にすることも大切です。

 

鋳造に必要な「中子」を製造する4つの方法

鋳造に必要な「中子」を製造するには、次の4つの方法が挙げられます。

  1. 砂型鋳造法
  2. 金型鋳造法
  3. 連続鋳造法
  4. ダイカスト鋳造法

砂型砂型鋳造法や金型鋳造法は型を作って、鋳造加工を進めていきます。また、ダイカスト鋳造法は金型鋳造法の1つであり、厳密には3つの方法ともいえます。ここでは、それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

 

方法①:砂型鋳造法

砂型鋳造法とは、砂を使った型を作ることで鋳造加工をする方法をいいます。型枠を数個使って型込めを進め、鋳型を作るのです。そのため、毎回造形をして鋳造の終了後には鋳物を取り出す必要があります。

砂型鋳造法は初期費用やコストが低く、製品の形状に柔軟に対応できる点が大きな特徴です。しかし、大量生産できないことやランニングコストがかかる点はデメリットといえます。

 

方法②:金型鋳造法

砂型を使うのは砂型鋳造法であるのに対して、金型鋳造法は型の材料に金属を使います。砂型との大きな違いは、型を繰り返し利用できる点です。

鋳物を取り出す際に壊さないといけない砂型に対し、金型は数万回にわたって繰り返し利用できます。そのため、大量生産できるだけでなく、寸法の精度にも優れています。しかし、初期費用が高額になりやすい点はデメリットといえるでしょう。

 

方法③:連続鋳造法

溶けた材料を鋳型に入れ、急冷して半製品を出す方法を連続鋳造法といいます。連続鋳造法には大きな装置が必要で、鋳型の他にもタンディッシュや取り鍋、スプレーノズル、ガス切断機などを要します。

普通造塊法が鋳塊を製造するのに対し、鋳片を直接かつ連続的に製造するのが特徴です。また、消費するエネルギーが少なく、作業環境に優れる点もメリットといえます。

 

方法④:ダイカスト鋳造法

金型鋳造法には複数の方法があり、その1つがダイカスト(Die casting)です。ダイカストとは、溶融した金属を圧入する金型鋳造法を指します。

ダイカスト鋳造法は精密に製造された金属の型を使用し、融解させておいて圧力を加えます。そのため、アルミニウム合金や亜鉛合金といった融点が低い金属に用いるのが一般的です。

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「中子」が使われる鋳造の主な工程

ここからは「中子」が使われる鋳造の主な工程についてみていきましょう。今回は広く利用されている砂型鋳造法を例に説明します。主な工程は次のとおりです。

  • 造形工程
  • 溶解工程
  • 鋳込み工程
  • 後処理工程
  • 仕上げ工程

工程ごとの詳しい内容について解説します。

 

工程①:造形工程

造形工程では型に砂を詰めていきます。この砂には粘結剤や添加物が混ざっているのが一般的です。

上下の型の他に、鈴のような空洞があるものを作る場合は中子型も必要になります。型に塗型材を塗布したり、砂の表面を溶湯の熱から保護して鋳肌を改善したりすることで、耐久性を高められます。

このような工夫を施す中で出来上がった砂型を組み合わせると鋳型が完成します。だだし、組み合わせる際に中子の姿勢が不安定だと肉厚が不均一になる点には注意が必要です。

 

工程②:溶解工程

鉄を溶かす溶解工程では、成分や温度調整が重要になります。一般的にスクラップ材やリターン材、成分を調整するための炭素やケイ素などが使われます。

また、電気炉で鉄を溶解しているうちに不純物が浮かんでくるので、これらを取り除いて純度を上げることも重要です。成分調査を実施して十分な調整ができていないと判断した場合は、再調整を行います。

 

工程③:鋳込み工程

成分や調整が完了した後は、溶湯を耐火材容器である取鍋に移して鋳型に注いでいきます。溶けた鉄を流し込むうえで最も重要なのはスピードです。

なぜなら、時間をかけてしまい溶湯の温度が下がると固まってしまうからです。空洞に溶湯がみたされる前に固まってしまうと鋳造品に欠落した部分が生じる要因となるので注意しなければなりません。

 

工程④:後処理工程

完全に凝固したら鋳型を壊して鋳物製品を取り出します。中には、型で使っていた砂やバリなどがあるため、ショットブラストとよばれる鋼球を鋳物にぶつける方法で除去するのが一般的です。

ショットブラストを使って小さな凹凸を作ることで、錆を防ぐ効果も期待できます。湯口などの製品を作る場合は除去が終わった後に、ハンマーやたがねを使って不要な部分をさらに落としていきます。

 

工程⑤:仕上げ工程

これまでの工程が終わった後は、製品ごとに設定されている方法で製品検査を進めます。検査方法としては、科学的検査法や内眼検査法、物理的検査方法などを用いるのが一般的です。

検査内容は機械的性質成分や寸法などさまざまな項目があります。そして厳重な検査を通過した製品は、最終的にエアブラシを使って塗装して完了です。

 

まとめ

鋳造とは金属を融点より高い温度で溶かし、固体を作る金属の加工方法です。鋳造にもさまざまな方法がありますが、ここでは一般的な砂型鋳造法の工程をご紹介しました。

また、鈴のような中空の鋳物を作る際に使われるのが中子です。中子は不安定な状態にしていると肉厚がバラバラになってしまうため、安定感のある構造にする工夫が必要です。

ちなみに「複雑な形状に対応してほしい」や「寸法精度を高めたい」といった要望がある場合はダイカスト鋳造をおすすめします。ぜひ豊富な実績をもつ会社に任せてみてください。

 

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