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ダイカスト金型で起こる欠陥、焼き付きとは?概要と対策について解説

溶融した金属を金型に圧入して製造される「ダイカスト」。

EV、半導体、環境維持部品、太陽光部品、発電機関係部品など、様々な製品使用されていますが、その大敵が「鋳造不良」です。本記事では、その原因となる「焼け付き」について解説します。

帝産大鐘ダイカスト工業が運営する薄肉・高精度ダイカスト 開発センターでは、お客様の技術課題、生産や調達に関するお困りごとを一緒になって解決に取り組みます。当社では高品質・コストダウン・製造リードタイムの短縮といったメリットを提供するために数々の技術提案も豊富にございます。アルミダイカストの技術を使って製品の軽量化を実現したいとお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。

軽量・薄肉ダイカスト開発センター

 

ダイカスト金型の焼き付きとは

「焼け付き」とは、「金型(キャビティ部)にダイカスト合金が融着」した状態を示します。

鋳造の際に、金型の表面にダイカスト合金が残り、そのまま金型を使い続けるとその後に鋳造したものに痕がうつります。

その結果、製品の外観や寸法精度を損うことにつながります。このような現象を焼付きと呼びます。

 

ダイカスト金型の焼き付きの原因

焼け付きの原因は、「金型が部分的に過熱されること」。

金型の設計や温度条件によって部分的に高温になり、融着が起こります。

また、高速の溶湯射出により一部が過熱される、もしくは冷却が不十分なことにより過度に高温の部分が発生すると、その結果金型に焼付きが生じてしまいます。

 

このようなダイカストの焼け付きの原因は、以下の2つのパターンに大別されます。

 

ひとつめは、金型に付着したダイカスト合金を溶解除去した際に、この両者が反応した痕が金型面に残る場合。

ふたつめは、金型とダイカスト合金との反応ではなく、「合金と金型間の摩擦力」が合金の「強度」を上まわったときに生じる場合です。

 

上記の2パターンの焼付きは、発生原因が異なるため、各々別の対策が必要です。

 

ダイカスト金型の焼き付き対策

鋳造不良に直結する焼け付きを防ぎ、高品質のダイカストを製造する上で、各ダイカストメーカーはさまざまな工夫をこらしています。

具体的には主に以下の3点について、お客様の求める製品の材質、形状などに応じた対策・対応が施されています。

 

対策①:金型設計や鋳造条件の見直し

金型とダイカスト合金の反応により発生する焼け付きは、鋳造時の「ダイカスト合金と金型の界面温度」が高温となることで、金型面にAl-Si-Feの金属間化合物が付着する現象です。

 

この反応が起きる温度は、合金や金型の材質・成分や、離型剤の種類とその付着状況、表面処理などによって異なります。

そのため、製造品に応じた金型を設計し、化学的・物理的に反応温度を算出し、反応条件を設定しています。

その結果、適切な鋳造条件を設けることで、焼け付きの防止に繋がっています。

 

対策②:鋳造時の金型温度調整

鋳造条件の中でも、ダイカスト合金の金型への付着は「反応する臨界温度」によって決定します。

 

この温度は、鋳造状況によって変化するため、鋳造時の適切な金型温度調整が極めて重要になります。

つまり、ダイカストの製造過程において、焼け付きを防ぐためには、鋳造時の金型温度をきめ細かく制御することが要といえます。

 

▼弊社のダイカスト製品の製造事例はコチラからご覧いただけます。

帝産大鐘ダイカスト工業 製造事例

 

対策③:離型剤の種類・塗布方法の変更

金型とダイカスト合金との反応ではなく、ダイカスト合金の「強度」よりも「ダイカスト合金と金型間の摩擦力」が大きくなった際に生じる焼け付きに対しては、離型剤の種類・塗布方法の変更による対策が必要です。

 

摩擦力が大きくなり、合金が破壊されるこのケースが生じるか否かは、離型剤の付着状況によって決定します。

離型剤を適切に付着すると、摩擦係数は低く、摩擦力がダイカスト合金の強度より大きくなることはありません。

 

しかし、離型剤の付着が適切でない場合は、摩擦係数は1.0以上になります。

つまり、ダイカスト合金は金型の中で凝固し、鋳造時にダイカスト合金が収縮。

たとえば、円筒形状のような鋳物の場合には、押付ける力が内側の金型に作用します。

この押し付け力によって、金型面とダイカスト合金の間に摩擦力が生じることになります。

 

上記の例のように、離型剤の付着が少なく、摩擦力がダイカスト合金の強度を上回った場合には,ダイカスト合金が破壊し、金型面上に残ることで焼け付きが生じます。

 

このような焼け付きを防止するための対策として、適切な離型剤の種類と塗布方法を選択する対策がとられます。

また、離型剤の付着に関する対策以外にも、離型時の温度管理、金型の抜け勾配、表面の粗さなども焼け付きに影響します。

そのため、離型剤に関しても金型の温度管理は重要になります。また、金型の冷却に対する制御をきめ細かく行うことも焼け付きを防ぐ上で大切な対策となります。

 

しかし、金型温度の過度の冷却により、離型剤の皮膜が形成できず、その結果摩擦力が大きくなっている場合には、離型剤を増加&金型を冷却したとしてしても焼け付きをなくすことはできません。

このような場合には、金型温度を離型剤がしっかりと付着する適切な温度範囲に設定し、調整する対策が必要です。

 

まとめ

この記事では、ダイカスト製品に生じる「焼け付き」という現象を解説しました。

焼け付きはダイカスト合金が金型内に融着し、鋳造不良を引き起こします。

ダイカストメーカー各社の技術力と対策そして努力により、より高品質な製品が消費者の手元に届くことを願います。

 

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