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置き中子とは?構造や特徴・メリット・デメリットをわかりやすく解説

置き中子は、成形物と一緒に金型に設置することで、複雑な空洞や突起、へこみを形成する砂型です。

置き中子を利用すると、金型加工費を抑えたり、手作業でアンダーカットを処理できたりするため、状況によってはコストを削減できます。

ただ、置き中子が万能なアンダーカット処理手段というわけではなく、成形品の形状や生産量、生産スピードを考慮して使用を検討しなければなりません。

この記事では、置き中子についてメリットやデメリットを中心に解説します。

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置き中子とは

置き中子とは、鋳物の空洞を事前に作っておくための中子の一種です。複雑なアンダーカット形状の処理が難しい場合や、時間がかかりすぎると判断された場合に使用されます。
置き中子がよく使用される鋳物として、パイプなどの穴が開いた成形品が挙げられます。

鋳物にそれほど精通していない方からすると、「パイプを作る際は先に穴の開いていない鋳物を作ってから、ドリルなどで後から穴を開ければ問題ないのでは?」と疑問に思うかもしれません。たしかに、ただ穴の開いただけの成形品を作る場合は、ドリルなどで後から穴を開ける方法も有効です。

しかし、複雑に入り組んだ成形品を作る場合は、後からの加工は困難です。ドリルで開けられる穴は単純な形状に限られます。そういった場合に、置き中子を用いると解決できます。

 

そもそも中子とは

中子とは、鋳物において機械では後から加工できないような空洞を事前に作っておくための砂型です。鋳物を作ってからの加工では難しいような、複雑な成形品を作る際によく使用されます。

成形品を突きだす際に成形品と同時に金型から取り出され、その後に手作業で成形品から中子を取り出すことで、鋳物に複雑な空洞やへこみ、突起を持たせられます。

 

置き中子の構造

置き中子の構造は、成形品の空洞やへこみ、でっぱりを作る形で作られています。
当然ながら、どういった成形品を作るかで必要な置き中子の構造は異なります。

 

置き中子の特徴

置き中子の特徴は、金型から成形品を取り出してからアンダーカット処理するには難しい空洞や突起をあらかじめ作れることです。多くの鋳物を作る際、金型から成形品を押し出して取り出します。

しかし成形品の形次第では、一部の形を形成できなかったり、そもそも成形品を取り出せなかったりします。そういった場合に何らかの方法でアンダーカット処理をする必要があります。数あるアンダーカット処理の中でも、置き中子の使用は事前に金型と一緒に設置してしまえば手作業で完結するシンプルな方法です。

 

置き中子のメリット

置き中子のメリットを2点ご紹介します。

アンダーカット処理の方法は多種多様であり、それぞれにメリット・デメリットがあります。ここでは、置き中子ならではのメリットとして、下記の2点について解説します。

  1. スライドコアを使わない
  2. 金型初期費用が安い

それぞれ詳しく説明します。

 

メリット①:スライドコアを使わない

数あるアンダーカット処理のなかでも、スライドコアはメジャーな方法です。スライドコアとは、金型を開閉する際に、金型内部でスライドする部分を指します。

たとえば、側面に穴が開いている成形品を金型から取り出す場合、一般的な型開きでは穴がつっかえてしまい成形品を取り出せません。そのため、側面の穴を抜くための特殊な動きが必要となり、スライドコアにより動きが加えられます。

この部分がスライドコアです。スライドコアを上手に使うためには、型に対してピンやカムブロックなどを設定してからアンダーカット処理を施す必要があります。また、成形品の形やアンダーカットしたい部分によっては、油圧シリンダーやエアーシリンダー、アンギュラピンを用いる場合もあります。

一方、置き中子を使う場合はスライドコア自体を必要としません。金型から成形品を取り出してから手作業で置き中子を取り除く処理で完結します。

 

メリット②:金型初期費用が安い

置き中子を用いると、多くの場合で金型初期費用のコストを抑えられます。というのも、置き中子の利用により複雑な金型を設計する必要がなくなるからです。

また、アンダーカット形状が複雑な場合は金型に高額な加工費を費やさなければいけませんが、置き中子を用いれば金型加工費を抑えられます。

 

置き中子のデメリット

置き中子のデメリットを2点お伝えします。

  1. 人手が必要である
  2. 量産に適していない

これらのデメリットは、先ほどご紹介したメリットの裏返しでもあります。状況によっては、メリットがデメリットにもなってしまうことを理解しておきましょう。

 

デメリット①:人手が必要である

良くも悪くも、置き中子には人手が必要です。金型から置き中子を取り出す作業は、人が手作業で行います。

手作業で工程を進められることは、金型加工費を抑えられるという意味ではメリットです。しかし、人手が必要となるという点ではデメリットでしょう。人件費や金型加工費などを天秤にかけたコストの計算が必須です。

 

デメリット②:量産に適していない

手作業が必須の置き中子を用いたアンダーカット処理は量産に適していません。
成形品を大量に作るとなると、それだけ人手が必要になります。また、人手を用意できたとしても、やはり生産スピードは機械の自動化よりは劣るでしょう。

置き中子の使用を検討する場合は、「どれくらいの量を生産するのか」、「どれくらいの生産スピードを要求されるのか」を事前に確認しておきましょう。

 

置き中子と引き抜き中子の違い

中子は大きく分けると、置き中子と引き抜き中子に分類されます。引き抜き中子は、シンプルな構造の鋳物をアンダーカット処理できる場合に用いられます。

スライドコアにより処理しきれるような構造ならば、置き中子よりも引き抜き中子の方が適している場合もあるでしょう。ただ、複雑な構造でアンダーカット処理が難しい場合、金型加工のコストがかさんでしまいます。

置き中子ならば、スライドコアを用いる必要がなく、人の手で成形品から取り出せます。
そのため、置き中子は引き抜き中子と比較すると、コストを抑えて工程を進められます。
ただ、大量に処理するとなると毎回人の手が必要となるため生産スピードが遅くなってしまいます。

状況に応じて、置き中子と引き抜き中子を使い分ける必要があるでしょう。

 

まとめ

置き中子は、成形品と一緒に金型に入れることで複雑な形状を形成する砂型です。数あるアンダーカット処理の手段のなかでも、手作業によるシンプルな処理が可能であるため、上手に使えば大幅にコストをカットできます。

ただ、置き中子の使用は万能なアンダーカット処理の手段ではありません。状況や成形品に応じて、的確に使用を検討する必要があります。

また、この記事では置き中子の有効性についてお伝えしましたが、「本当に置き中子が有効なのか」、「置き中子よりも適したアンダーカット処理方法があるなら知りたい」と考える方も多いと思います。

その場合は仕事を依頼する前に、鋳造品メーカーなどの外注先に相談してから適切に手順を進めてみてはいかがでしょうか。

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